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2020/08/13 神港園サニーライフ白川

ご長寿知恵袋⑩ 最終回

ご長寿知恵袋最終回

[鎮魂の黒き喪章を胸に今は真っ白な帆を上げる時なのだ]:東日本大震災年度卒業生への校長のことば

「兄が満州で兵隊にとられて。実際に戦う前に終戦。でも直ぐに帰国するには危険やったから、一年間中国の人に匿ってもらったんよ。無事帰ってきたよ。」

:Mさん談話

解説

満州とは現在の中国東北部です。戦前、新天地を求めて多くの日本人が移住しました。その中には、赤塚不二夫(漫画家)、畑正憲(ムツゴロウさん)他多数の有名人も含まれています。

漫画家「ちばてつや」さんもその中の一人です。同氏は当時の体験を今回のコロナ禍に重ね合わせた作品をWEB上で無料公開しています。(壁面に同作品を掲示していました)。

内容は終戦後、満州に取り残された日本人一家が「仲の良かった現地の中国人」に匿ってもらいながら「究極のステイホーム生活を送る」というものです。読後感は「不思議な位明るい」です。「非常時にも人情は生きていたと...」。

戦争にまつわる「小説」「漫画」等、興味を持てる範囲でコツコツと調べた結果、一番惹かれたのは「戦時中の子供たち」です。「建前」「世間体」に捉われた大人達の物語も「非常によくわかる」のですが、「そういうことのばかばかしさは小さい子供にもなんとなくわかる」という小学一年生で終戦を体験したある作家の談話には頷けるものがありました。そのエピソードとは「戦勝祈願を村中の祠やお地蔵さんに毎日祈るように大人に言われた」です。「おじぞうさんは戦争をどんどんせえなんか言わんバイ」と心の中で思ったと。怒られるので口にはしなかったそうですが...。

「悲しい事」だらけだった今年もはや折り返し地点を過ぎ、「お盆の帰省」もままならないという不条理な現状です。盆過ぎの「神戸の子供の楽しみ、地蔵盆」も相次いで中止となってしまいました。

「地蔵が子供を苦しみから守ってくれるという観念が広まった事」が地蔵盆では子供向けの行事が多く見られる理由の一つと考えられています。

疫病退散にかかわる不思議な妖怪が日本各地に点在しています。富山の「くたべ」熊本の「あまびえ」、山梨の「よげんのとり」...。

終戦後の世界を悲しみを背負いながら朗らかに駆け抜けてきた「子供たち」を「お地蔵さん」とともに見守ってくれていたのではないでしょうか...そしてこれからも...。

夏休みこども俳句

「なつやすみ セミもうるさく 母もうるさく」

「スイカ食べ かいじゅうみたいな ぼくのかお」

これにてご長寿知恵袋終幕します。皆様有難うございました。